2018年11月30日(金)静岡市議会 平成30年11月定例会「本会議・総括質問」
◯8番(島 直也君) 皆さん、こんにちは。自由民主党静岡市議団の島 直也でございます。
本日、傍聴にお越しいただいた皆様、まことにありがとうございます。
本日、私が最後の登壇となります。午前は、早川議員からの質問の答弁に、田辺市長の3期目への志をお伺いいたしました。静岡市のためにも頑張っていただきたいと応援しております。
私も3期目への市長の志を受けとめ、さらなる市民の幸せを願って質問させていただきます。
あえて生意気なことを申し上げますが、どうぞ最後までおつき合いのほど、よろしくお願いいたします。
それでは、通告に従いまして、職員の人材育成についてとSDGsの推進についての2点について、順次質問をさせていただきます。
今回の質問のテーマは人づくりです。田辺市長も常々お話をされているとおり、まちづくりは人づくりです。どんなに便利で住みやすいまちであっても、人の心が通っていなければ、決してよいまちとは言えません。
市長の施政方針にもあるとおり、積極的にまちづくりにかかわろうとするシチズンシップに富んだ市民が多ければ多いほどまちはよくなる、私もそのとおりだと思います。
このまちに住まう子供から大人までがまちをよくしたいと思い、また行動していくことが大切なのはもちろん、市役所の職員もまたしかりです。
静岡市のまちづくりを支えているのは、市の職員であり、職員がモチベーション高く積極的にまちづくりに取り組んでいかなければ、市民の声は行政に届かず、まちづくりへの意欲は低下し、このまちはよくなっていきません。それでは、現在の静岡市役所の職員の状況はいかがでしょうか。
私は、3年ほど前に、市内の大学生と一緒に地域の活性化を目的に活動をさせていただいたことがありました。その中の一人が静岡市役所への内定が決まっており、市民が幸せに暮らせる静岡市になるように頑張って働くんだと目を輝かせながら話をしてくれたことがありました。そのとき、僕はこういう志を持った若手職員と一緒になって、静岡市のために働きたいと思いました。
その後、私も議員となり、昨年の夏、市役所の1階を歩いているとき、その職員を見かけました。久しぶりだねと明るく声をかけましたが、思い描いていたまちづくりへの仕事とかけ離れていたのか、あのころのような目をきらきらさせながら静岡市の未来を語っていた姿はそこにはなく、死んだ魚のような眼になっていました。その姿を見たとき、あんなにやる気に満ちあふれた若者がたった2年の間にこんなにも変わってしまう環境なのかと正直驚きました。
まちづくりは市役所の職員によって決まると言っても過言ではありません。中には、いきいきと働いている職員もいるとは思いますが、やる気や向上心をそいでしまうような、そんな職場環境になってしまってはいないでしょうか。
ただ指示されたことをこなす業務で、みずからが率先してまちをよくしていきたいという崇高な思いや、積極的にまちづくりに取り組みたいという志がかなわない、そんな職場環境や風土になってしまってはいないでしょうか。
最も大事なのは、市民と向き合うことです。対外的な評価や上司の顔色ばかりを気にするのではなく、市民の笑顔や、笑顔をもっと見たいと願う、そういう気持ちを育ててほしいと思います。市長が望んでいるのも、そんな職員ではないかと思います。
現在、職員のスキルアップや企画力、提案力、やる気の向上につながるような職員の人材育成は、どのように行われているのでしょうか。
そこで、人材育成に対する市長の考え方について、今後将来を担う職員の人材育成について、どのように考えているか、お尋ねします。
次に、現在の静岡市のSDGsの推進についてです。
2030年までに先進国も新興国も途上国も、国も企業も、NPOも個人も、あらゆる垣根を越えて協力し、よりよい未来をつくろうと国連で決まった17個の目標であることは、皆さん御存じのとおりです。
現在、静岡市が取り組んでいるSDGsの取り組みは、田辺市長が国連でスピーチをされ、東京ガールズコレクションを誘致し、来年の1月にはSDGsウイークと銘打って、若者や女性にSDGsの認知向上を図るとのことです。
しかし、市民に対して、貴重な予算を使ってイベントを開催するだけの単なるパフォーマンスに見えてしまうようでは意味がありません。
本来、TGCの誘致などのイベント開催は、民間の企業が主体となり行っていただき、行政はそういった事業の行いやすい環境をつくり、サポートに努めるべきであると思います。
田辺市長は、必死になってSDGsの旗を振られておりますが、市職員を初め市民や現場にその思いは伝わっているのでしょうか。
SDGsとは、社会や環境をよくするのはもちろん、経済発展にもつながっていくことが重要です。志は高いが、結果的にSDGs貧乏になってしまっては、元も子もありません。
SDGsを推進するという思いだけがひとり歩きし、イベントの誘致や総合計画を実施するための理由の後づけになってしまってはいないでしょうか。
市民は、もっと身近な生活に根差した悩みや不安を抱えて日々生活をしています。私は市議として、多くの方からそういった相談を山ほどいただいております。ここにおられる多くの市議の皆さんも同様だと思います。
今の静岡市は、子育てや介護、災害など、多くの課題が山積しています。地域に目を移せば、自治会やボランティアの皆さんが中心になって、地域行事やS型デイサービス、子ども食堂など、SDGsにもつながるような活動を一生懸命に支えてくださっています。そんな市民の皆さんに、国連やTGCの話をしても共感は得にくく、市長がこの静岡市をどうしたいのか、市民に十分に伝わらないのではないでしょうか。
私自身、毎日、胸にこのSDGsバッジをつけております。国連が進めるSDGsの考えにはもちろん賛同しております。ぜひ市民の皆さんにも知っていただき、静岡市が、そして日本が世界と一緒になって発展し、幸せになっていければと願っています。
しかし、地域の経済発展や市民の幸せなくして世界は救えません。今の静岡市が抱える課題の優先順位を考えたときに、SDGsは今どの位置にあるとお考えでしょうか。
そこで、本市におけるSDGsの取り組みについて、SDGsの推進における市長の取り組み姿勢とは何か。
これまでの取り組みにおける成果と課題は何か。また、その課題の改善に向けて、どのように取り組んでいくのかお尋ねします。
以上、3点をお聞きし、1回目の質問を終わります。
◯市長(田辺信宏君) 私からは、大項目、SDGsの推進について、市長はどのような取り組み姿勢なのかとの質問にお答えいたしますが、もう1つの大項目、職員の人材育成についても大事な論点であります。
私は、常日ごろ、職員に対しまして、鳥の眼と虫の眼の2つをあわせ持てということは伝えておりますが、魚の眼では困ります。叱咤激励をお願いしたいと存じますが、この2つの大項目は、ベースのところで通底しております。議員御指摘のとおり、私の理念である、まちづくりは、つまるところ人づくりだということであります。
人生100年時代、前向きに生きようとするチャレンジ精神と、また長い人生の中で出会う困難な局面にぐっとこらえ、そしてあきらめない胆力、このチャレンジ精神と胆力を持った人々が静岡市に多くいることがSDGsの推進の原動力になるというふうに私は考えています。
まず、冒頭御理解いただきたいのは、3次総を推進していくためのツールとして、手段としてSDGsを活用していくということであります。あくまで主役は3次総であります。
イメージとしては、午前中に私が申し上げましたとおり、この3次総を積んだ船が、帆船が世界を目指して出港を始めたというときに、国連とか国連外交を重視している日本政府がSDGsの風を吹かせてくれているから、これをこの帆船がしっかり受けとめて、より早く船を進めていく、そのためにSDGsを活用していくというイメージであります。
ただ、SDGsの17の目標、その意味、内容を子細に分析をしてみますと、3次総を通じて70万人の静岡市民に提供したい都市の姿、すなわち安心感と満足感が両立した、人生を謳歌する都市と。国連が地球上の誰一人取り残さないという理念のもと、70億人の地球に暮らす人々に、戦争やテロや貧困や地球温暖化を解決した、そんな世界を2030年までに実現をしたいという地球の姿は、全く一緒だということを理解したからであります。
だから、私たちは、3次総を加速するためにSDGsを活用していくという取り組みを始めたと理解をしていただきたいと思います。
そこで、取り組み姿勢は2つ、いわば2段構えでやっていきたいと思っています。
第1に、まずは、市民に対してSDGsの認知度を高めるということ。
第2に、これが大事なわけですけれども、市民のSDGsについての理解力、理解度を高めていくということ。これが車の両輪になって普及啓発を進めていきたいという取り組み姿勢を私は持っています。
今、情報発信力の強化、広報力の強化に取り組んでいる一環として、ある企業グループと官民連携で、御当地ソングをつくった「思い出の交差点」、これを普及していこうじゃないかというプロジェクトを進めております。
このごろ、おかげさまで、認知度は高まってきました。ああ、これコマーシャルでこのごろやっているね。市役所でもエレベーターの中で流していたねと認知度は高まっているんですが、理解度はというと、例えばこれを私は地域の会合で、カラオケスナックで一緒にデュエットしようとリクエストしても、歌える人はまだほとんどいないですね。これを歌うためには、歌詞も知らなきゃいけない、メロディも知らなきゃいけない。そして、理解をしないと、ものにならないわけであります。
そして、みんなで楽しく、この御当地ソングを市民が愛唱するということにならなければ、これは当初の目的を達成したことにはならないわけです。
だから、まず認知度を高めるということは大事だけれども、理解度を高める。SDGsも同じことなのであります。
おかげさまで、何となくこのごろSDGsと、メディアも提供してくれる、議会でも議論になっているので、確かに認知度は高まりました。しかし、このSDGsの意味、内容を理解して、国連がどんな17の目標を掲げ、それが静岡のまちづくりとどうつながり、ひいては、自分の生活、自分の人生にどんな目標を掲げるにせよ、これは役に立つんだ、仕事の役に立つんだと、こういう自分事として、これを一本の線で理解をしてもらわないと、なかなかSDGsというものが、当事者意識を持って、市民一人一人の官民連携の力強い動きにはならないと私は認識をしています。
今年度、市民にとって自分事として一番関心があるのは、自分の健康であります。とにかく健康で元気に暮らしたい。そして、3次総、5大構想の1つが健康長寿のまちづくりであります。そこに着目をして、自分の健康を守るんだという切り口から、SDGsの視点を取り入れ、これを指標で健康長寿のまちの施策の中で、自分一人の健康をどう守っていくのかということをわかりやすく示し、進捗管理をしていくための作業に取り組み始めました。
1つの地方公共団体として、行政サービスを可能な限り向上させることは、最も重要なことであります。現在、SDGs研究の日本の第一人者の知見もおかりしながら、我が国のこの健康という切り口、全ての人々に健康と福祉をというのは、SDGsの17の目標の大きな1つであります。ですので、我が国の先進事例をこの静岡市で健康長寿のまちという5大構想と組み合わせて作業を進めているところであり、今年度中の完成を目指しております。
いずれにしましても、このSDGsの取り組みは、まだ緒についたばかりであります。議員御懸念のように、これを一過性のイベントに終わらせてはなりません。また、これから2030年に向けて、日本政府も国連もますます強い風を吹かせてくれると私は予見をしております。
官民連携で静岡市でこの取り組みを強めていくためにも、まず認知度の次に理解度を高める取り組み、そして何と言いますか、まちづくりの大きな物差しとして、このSDGsを利用していく。そして、3次総を加速していく手段として使っていく、こんな取り組みをしていきたいと思います。日本の自治体の中では、未来都市に指定されたり、アジア初のハブ都市になって、いわば先頭ランナーを走っているという自負はありますが、先頭集団がゆえに、強い向かい風も受けるんです。SDGsをやったところで何の役に立つんだと。実は、介護や福祉や医療ともこれは結びついて、これを加速化するツールになり得るという理解が進んでいないゆえに、まだまだ先にやることがあるんじゃないかという意見もいただいているということは重々承知をしておりますが、それは先ほど中山議員からアドバイスをいただいたように、そういうときには、まあまあ、一緒にやりましょうと私自身頭を下げて、この普及啓発に取り組んでいきたいと考えておりますので、ぜひ御協力のほどをよろしくお願いいたします。
以下は局長から答弁をさせます。
◯総務局長(大長義之君) 将来を担う職員の人材育成について、私からお答えをいたします。
「世界に輝く静岡」の実現を目指すために、職員の育成は、重要な課題の1つとなっております。
そのため本市では、あるべき姿を地球規模で見定める鳥の眼の視点と、市民生活に寄り添う虫の眼の視点の複眼思考を持って政策を進めていくことが大切であると考えております。
このような視点で政策を進めるため、特に将来を担う職員に求められるのは、失敗を恐れず、何度でも立ち向かっていくチャレンジ精神や、高い目標に向かって粘り強くあきらめない胆力、そして、市民の皆さんの信頼に応え、ともに行動する仲間を引きつける人間力であると考えております。
そこで、職員のチャレンジ精神や胆力、そして人間力を育てるため、さまざまなプロジェクトメンバーに若手職員を起用するなど、育成の場を積極的につくっております。
具体的には、本年8月にスタートした、おもてなしコンシェルジュがあります。
これは、若手職員で構成するプロジェクトチームの提言から生まれた取り組みであり、みずから手を上げた職員が庁舎の入り口に1人で立ち、来庁される市民の皆さんに積極的に声をかけ、目的の場所に御案内しています。
不安を持って来庁される市民の皆さんも多く、年齢、性別、目的もさまざまであるため、親しみやすい口調やわかりやすい会話のスピードを心がけながら、内容を的確に把握するなど、場面に合わせた柔軟な対応が求められます。
そのような中、1人で対応することへの不安や、案内先を間違えられないプレッシャーに耐えるという経験は、まさに胆力の育成につながっていると考えております。
そのリーダーとなっている職員が先日、新聞に取り上げられました。記事には「職員全員がおもてなしマインドを持って自ら動くことができれば、コンシェルジュはいらない。一人でもそうした意識を持った職員が増え、市民サービスの向上につながればいい」とコメントしていました。
私は、このコメントを大変うれしく思い、おもてなしコンシェルジュが、市民の皆さんにとっては、気持ちのよい接遇になっており、職員にとっては、人材育成の場につながっていると手応えを感じているところです。
また、本市では、そのほかにも、多くの報道関係者が集まる記者会見や幹部職員が集まる局長会議において、入庁して間もない職員が堂々とプロジェクトの説明を行っており、若手職員が育ってきているところでございます。
こうした若手職員を1人でも多く育成するため、高い目標を掲げた、やりがいのある育成の場を今後もつくっていきたいと考えております。
まちづくりは、ひとづくりであり、育成の場から育った多くの職員は、まちづくりを支える人材になると考えております。
若者や子育て世代、高齢者など、全ての市民の皆さんがこのまちでずっと暮らしたい、そして世界中の人たちが、このまちを訪れてみたいと思うような魅力的なまちを具現化するのは、まさにそういった職員です。
人材育成ビジョンで掲げる「使命感と熱意を持ち、自ら考え行動できる職員」を目指し、将来を担う職員の育成に取り組んでまいります。
◯企画局長(松永秀昭君) SDGsの取り組みにおけるこれまでの成果と課題、また、その解決方策などについてお答えをいたします。
本市は、本年6月にSDGs未来都市、そして7月にアジア初のSDGsハブ都市になり、日本政府や国連を通じて取り組みが紹介されているほか、本市ホームページ、さらには月刊「地方自治職員研修」などにより、本市のSDGsの取り組みを発信していることもあり、最近では、日本教育行政学会を初め、獨協大学や静岡産業大学、他の自治体などからも講演依頼を受けるようになりました。
このように、SDGsに取り組んだことにより、本市の存在感を高めるという点で、一定の成果があったと評価しております。
しかしながら、先般、小学校への出前授業でSDGsの認知度を尋ねたところ、知っている人の割合が10%程度にとどまるなど、まだまだ低い認知度が課題であると再認識させられました。
これまで常葉大学を初め、静岡デザイン専門学校、清水六中、安東小などで出前授業を行い、認知度向上に努めてまいりましたが、引き続きSDGsという言葉を知る、興味を持つ人をふやすため、SDGsウイークなどを通じて、次世代を担う若者を中心に普及啓発を進めてまいります。
そして、来年度以降は、SDGsの内容を理解し、行動に移す市民や企業などのさまざまな主体をふやすため、SDGsの取り組みを疑似体験できるカードゲームを初め、市政出前講座や、企業に対しては、ボランティアでも社会貢献でもない、ビジネスに直結することなどを民放テレビ局と連携し取り組んでいるメディアプロジェクトの本格実施を通じて、SDGsの言葉を知っている段階から理解を深め、自分事として行動につなげる段階まで、それぞれの状況に応じた普及啓発事業を進めてまいります。
〔8番島 直也君登壇〕
◯8番(島 直也君) 御答弁をいただきました。
意見・要望は、3回目にさせていただきたいと思います。
私は、今回のテーマである人づくりの質問に先立ち、幾つかの市町に研修視察に伺わせていただきました。そんな中で大変すばらしい取り組みをされていたのが焼津市と藤枝市でした。
焼津市は、数年前から市役所の職員研修の一環として、採用2年目、3年目の若手職員向けの研修制度、市役所若者倶楽部を設立しました。焼津の元気で魅力あふれるまちづくりを推進することを目的として設立されたこの研修制度は、若手職員が企画やアイデアを出し合いながら、企画力や提案力の向上などのスキルアップや、企画立案を進める中で地域との交渉などを行い、市民との関係構築にもつなげているそうです。
それだけではなく、若手職員全員が部署の垣根を越えて4つのチームに配属され、企画・運営を行うことで、通常の業務ではかかわることのない職員との交流にもつながり、他部署との情報共有など、研修終了後も横の連携が図れるようになったとのことでした。
小さな取り組みではありますが、若手職員にとっても、自分たちで考えた企画が形になり、自信やモチベーションのアップにもつながっているそうです。
また、藤枝市においては、職員を市の財産として捉え、市民のためにいきいき働く職員の育成に重点を置き、「人財育成」型の市政改革を行うために、平成23年4月に「人財育成基本方針~「日本一の職員づくり」を目指した人財育成に向けて~」を策定し、「…市民の元気は、市役所の元気から!!」をテーマに、「職員が変われば市役所は変わる。市役所が変われば市が変わる。」という考え方のもと、人財の育成に取り組まれてきました。そんな思いから、藤枝市では、人材の材を、財産の財と表記しています。
これまでの7年間で、市職員が劇的に成長を遂げ、その結果、市民サービスの向上や人口増加にもつながったとのことでした。
私が一番驚いたのは、市の人事課や管理職だけではなく、藤枝の市議会議員でさえも、我が市の職員の能力は他の市町に負けていない日本一の職員ですと自信を持ってお話をされたことです。
過去に、静岡市役所に内定をもらっていた方が、人材育成基本方針や説明会での先輩職員からの話を聞いて、藤枝市役所を選ばれた方もいたそうです。
静岡市だけではなく、他の市町に採用された職員も、スタートの段階では、能力に大きな違いはないと思っています。採用された職員たちのスキルや企画提案力、モチベーション、まちを思う気持ちを成長させるのは、人材育成や職場環境にあると思っています。
静岡市役所の中にも中堅職員が有志で集まり、自分たちの興味、関心のある分野に対してさまざまな活動をされている自主研究グループがあります。こういった能動的な取り組みこそ、静岡市がさらによいまちになる、職員の意識が向上するきっかけになると思っています。
きれいごとと思われるかもしれませんが、私は、仕事とは、やらされるものではなく、自主的に考え、動き、形にしていくものだと思っております。
1人では乗り越えられない高い壁も、仲間でアイデアや企画を出し合い、それを経験豊かな先輩がフォローし、上司がその背中を押してあげる。職員同士が力を合わせ、あきらめずに取り組んでいくことが、何よりも重要だと思っております。
1回目の質問でも述べたように、市役所の混沌とした雰囲気を払拭し、職員全員がやる気に満ちあふれる環境や雰囲気づくりをしてくいことが今必要なのではないでしょうか。
静岡市でも、平成24年3月に新人材育成ビジョンが策定され、平成27年3月に改訂が行われました。改訂から3年が経過し、今年度は見直しの時期に来ております。
実際、藤枝市の新・人財育成基本方針、静岡市の新人材育成ビジョンを拝見したところ、内容にはそれほど大きな違いはないように思います。では、なぜ、職員の成長に違いが生まれてしまうのか。それは、人材育成に対する意気込みや研修制度、OJT、評価方法などに課題があるからではないでしょうか。
そこで、若手職員の育成について、若手職員の人材育成について、現在どのような取り組みを行っているのか。
取り組みを推進する上での課題は何か。また、その解決に向けてどのように考えているのか、お伺いします。
次に、SDGsについてであります。
そもそもSDGsとは、古くから日本に脈々と受け継がれてきた教えや、私たちが幼いころに学校で学んできたこととそれほど大きな違いはないと思っています。
例えるなら、江戸時代から明治時代に日本各地で活躍した近江商人が大切にしていた、三方よしの考え方です。三方とは、売り手、買い手、そして世間であります。信頼を得るために、売り手と買い手がともに満足し、さらに社会貢献もできるのがよい商売であるという考えです。自分たちの利益ばかりを考えるのではなく、ただ人のためになることを行い、そして蓄積していった信頼がやがて大きな利益をもたらす。そこでたまった利益を今度は学校の建設や橋の建設に使い、社会にも大きく貢献をしたということです。これこそSDGsの考えに通じるものだと思っています。
また、私たちが学生のころに学んだ道徳教育もその1つだと思っています。学校の水道の蛇口の前には、水を大切にしましょう、教室には、友達と仲良くしましょう、困っている人がいたら助けましょう、みんなで協力して目標を達成しよう、ごみはごみ箱に捨てましょうなどの標語が掲げられていたと思います。もちろんSDGsの目標の中には、近年になって問題になっている内容も含まれていますので、全てがそうだということではありませんが、私たちが幼いころに学校という環境の中で自然と学んだことと、SDGsが目標に掲げていることは、そんなに大きく違わないと思っています。
私は、多額の予算を使ったイベントでSDGsの認知向上を図るよりも、まずは国連が目標とする2030年に、このまちを担う子供たちに対して、日々の暮らしの中で自然とSDGsに親しむ環境をつくっていくことのほうが重要ではないかと考えています。
先日、青年会議所の主催で、「SDGs for School」という事業を実施し、市役所の職員向け情報誌「What’s your SDGs?」でも紹介されておりました。9月3日から10月31日の期間で、市内の小中学校の12クラスを対象に実施され、SDGsとは何かを子供たちでもわかるように、すごろくゲームを取り入れながら学べる授業でした。
私も1つの中学校の授業に参加させていただきましたが、授業を受ける前に行ったアンケートでは、生徒の258人中238人、92%、また立ち会われた先生でも12名中2名がSDGsを知らなかったと答えていました。
授業を受けた後は、生徒の93%がSDGsを理解できたと答えました。また、生徒の258名中233名、およそ90%が、世界のために今、自分にできることをしようと思ったと答えました。9割以上の生徒、また先生の中でもSDGsが認知されていないというのが現状です。
しかし、SDGsを知ることで、自分たちがどのように世界と向き合っていくのか、自分事のように真剣に考え、今の自分にできることをしようと取り組むきっかけになるのは間違いありません。
また、その活動が評価され、小中学校の校長会にも招かれ、カードゲーム「2030SDGs」の体験会が行われました。校長先生でも、SDGsという名前は聞いたことがあっても、具体的にどんなものなのか知らない方も多く、このゲーム体験によって、SDGsの理解が深まったとお話をされていました。
こういった状況を見ると、学校の現場においても、まだまだSDGsに関する認知は広がっていません。貴重な予算を使い、単なるパフォーマンスで終わらせてしまうのではなく、まずは足元を見て、学校の現場で子供たちから理解促進を図っていくことも重要だと考えます。
そこで、学校教育における取り組みについて、学校教育におけるこれまでの取り組みを、SDGsの視点から捉え直し、位置づけていくことが大事だと考えるが、SDGsについて、教育現場においてどのように捉え、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いし、2回目の質問を終わります。
◯総務局長(大長義之君) 若手職員の人材育成についての2点の御質問にお答えいたします。
まず、若手職員の人材育成についてですが、若手職員がさまざまな場面で市民の皆さんの期待に応え、プロ意識を持つ職員に成長するには、コミュニケーション能力、問題解決能力、自己成長意欲の3点を特に高めていく必要があると考えております。
1つ目のコミュニケーション能力は、職員が市民の皆さんとの信頼関係を築き、業務を円滑に進めるために必要な能力です。研修では、相手の話にしっかりと耳を傾けて聞くことと、わかりやすく説明することを、1対1のロールプレイングを通して学び、聞く力と伝える力にあわせて、相手を思いやる力の向上を図っております。
2つ目の問題解決能力は、職員が業務上の問題や市の課題を解決するために必要な能力です。研修では、職員が5~6人のグループに分かれ、福祉、環境など市のさまざまな課題を事例とし、現状を分析し、原因を探求し、その解決策について、議論を交わし導き出すことで、問題を解決する力の向上を図っています。
3つ目の自己成長意欲は、職員がどのような環境においても自発的に成長していくために必要な意欲です。研修では、ロールモデルとなる先輩職員や国への派遣を経験した同世代の職員が、経験や仕事のやりがいを伝えるほか、各局では、局長と若手職員による座談会の実施などを通して、若手職員の成長意欲を促しています。
この取り組みを中心に、さまざまな研修を通じて、業務を着実に遂行し、市民の皆さんの期待に応える若手職員の育成に取り組んでおります。
次に、取り組みを進める上での課題についてですが、上司や先輩職員が、日常業務を通じて、部下や後輩職員を育成する職場のOJTのあり方が課題であると考えております。
現在の組織においては、若手職員の増加により、経験の少ない職員についても、職場の即戦力として、その役割を期待されることがふえています。
一方で、ベテラン職員の減少により、実務経験が豊富な人材が不足し、かつてのように、先輩職員が人間関係を築きながら、時間をかけて若手職員を指導していくことが難しい状況になってきています。
このことにより、職場における知識やスキルの継承がうまくできず、これまでのような個々の能力に頼った組織運営の方法では、組織力の低下が懸念されます。
市民に信頼される自治体として、組織力をさらに高めていくためには、職場全体で職員を育成する体制を整え、若手職員がそれぞれの職場においてみずからの力を発揮し、その力を組織の成果につなげていく必要があります。
そのため、次期の人材育成ビジョンでは、人を育てる組織への転換を方針に掲げ、組織全体で人材育成を推進する体制の構築を目指します。
具体的には、職場全体が人を育てる場として機能するために、職場の人材育成を推進するリーダーの役割を強化するとともに、上下職員間の相互理解を深めるために、課長級と主査級との合同研修を実施するなど、職員一人一人に、部下や後輩職員を育てる意識を持たせ、OJTを推進してまいります。
◯教育統括監(望月敬剛君) 学校におけるSDGsの捉えでございますが、SDGsの特徴である、多様な価値を受け入れ、協働して問題解決を図るという点では、本市の教育が目指してきた、「様々な視点で物事を見ることができ、他人の考えを受け入れ、協力し合いながら、問題解決ができる」という、たくましくしなやかな子供たちの姿と方向性をともにするものと捉えております。
また、2020年度から実施の新学習指導要領で重要視されております教科横断的に取り組む教育においても、社会におけるさまざまな課題が相互に関連し合っているというSDGsの視点を取り入れていくことが重要であると考えております。
例えば、学校では、これまでも、身近な海岸のごみ問題を考える授業から地球的課題である海洋保全の学習に発展させるなど、地域の現状から普遍的な課題に問題意識を広げていく教育を行ってまいりました。ここにSDGsの視点を取り入れることで、子供たちが海洋資源の保護と経済問題との関連に気づき、世界の貧困問題に結びつけるなど、学習に広がりを持たせることが可能となります。
このことで、子供たちは、レジ袋をもらわずプラスチック包装を減らすことが海洋汚染を防ぎ、漁業にかかわる人の生活を守ることにつながることが意識でき、消費者としての自分の役割を果たしていく子供に育っていくと考えます。
そこで、SDGsの視点を取り入れていく第一段階として、1月に、本市のSDGsに中学生が参画するという目的で、「静岡市SDGs中学生サミット」を開催します。ここでは、それぞれの学校の取り組みや考えを全中学校で共有し、SDGsと結びつけて考えることで、自分たちの活動を価値づけ、さらに発展させるきっかけとします。
今後は、サミットに参加した子供たちがSDGsを各学校で普及させていくとともに、この取り組みを通じて得た指導方法を教員同士で共有します。
SDGsの視点を学校教育に取り入れることで、本市の小中一貫教育が目指す、つながる力の育成をさらに加速させ、グローカルな子供たちの姿として世界とつながる力、未来とつながる力を育んでまいります。
〔8番島 直也君登壇〕
◯8番(島 直也君) 最後は、意見・要望です。
まずは、人材育成についてです。
ぜひ我が市も日本一の職員づくりを目指して、人材育成に取り組んでいただきたいと思います。
若手職員にも広く活躍の場を与え、若さならではの新しいアイデアやセンスを取り入れることは、「世界に輝く静岡」の実現のためにも、大変重要であると思います。
ぜひ若手職員向けの研修制度の設置や、自主的に活動されている研究グループの活動のサポート、推進をしていただき、全庁的に職員のやる気やスキルアップにつながるように取り組んでいただきたいと思います。
続いて、SDGsについてです。
質問の中でもお話をさせていただきましたが、子供がふだんの学校生活の中で、自然となれ親しむ環境の整備をお願いします。
わざわざ授業で行う必要はないと思います。水を大切にしましょう、SDGsマーク、ごみはごみ箱に捨てましょう、SDGsマークのように、SDGsに触れる機会をふやし、興味、関心を持てば、みずから知りたいという行動につながります。例えば授業で習っていなくても、二宮尊徳の銅像が学校に立っているからみんな知っているのと同じことだというふうに思っています。
難しく考えるのではなく、簡単なことから始めてはいかがでしょうか。学校の壁や公共施設の壁にマークをつけるだけでも、興味喚起は図れると思います。
本日の早川議員への答弁の中で、市長は、現地現場主義を第一に考えとおっしゃいました。70万人の静岡市民の生活は、田辺市長の肩にかかっています。生活者の目線を忘れることなく、今後も市政運営に取り組んでいただきたいとお願いし、私の全ての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)