静岡市議会質疑

2019年6月26日(水)静岡市議会 令和元年6月定例会「本会議・総括質問」

2019年6月26日(水)静岡市議会 令和元年6月定例会「本会議・総括質問」

◯8番(島 直也君) 皆さん、こんにちは。
 自由民主党静岡市議団の島 直也でございます。
 それでは、通告に従いまして、大項目、静岡市が抱える課題解決に向けた局間連携について。石部・用宗海岸の環境整備等について、局間連携による課題解決、各課の課題を共有するための仕組みづくりの3点について、順次質問をさせていただきます。
 今回の質問のテーマは、局間連携による課題解決です。静岡市役所の各局、各課が抱えている課題や地域からの要望について、1つの部署では実現することが困難な案件でも、他局と協力、連携することによって、課題の解決につながり、さらには静岡市が掲げる大きな目標を達成できるのではないかという内容で、今回質問をさせていただきます。
 皆様、御存じのとおり、我が市は、少子高齢化や人口減少の課題を抱え、対策が待ったなしの状況です。全国の市町村が移住・定住を推進し、全国的に競争が進んでいます。そんな多くの競合がいる中、静岡市は、総合戦略の中で、「「まち」の存在感を高め、交流人口を増やす」、「「ひと」を育て、「まち」を活性化する」、「「しごと」を産み出し、雇用を増やす」、「移住者を呼び込み、定住を促進する」、「女性・若者の活躍を支え、子育ての希望をかなえる」、「時代に合った「まち」をつくり、圏域の連携を深める」を基本目標とし、2025年に総人口70万人の維持を掲げ、各局各課がそれぞれの分野でさまざまな事業を展開し、課題解決に向けて実施をされています。
 以上の点を踏まえ、まず初めに、豊かな地域資源を活用し、まちの存在感を高め、交流人口を増加させる、移住者を呼び込み定住を促進するために、経済局と観光交流文化局の局間連携によって、課題を解決することができるのではないかという思いから、お話をさせていただきます。
 私が2017年9月定例会の総括質問の中で、静岡市が平成17年度から進めている用宗・石部海岸の養浜事業によって、安倍川河床の掘削土砂を利用していることで、海岸が砂浜から大きな石ころだらけの海岸になってきていると、お話をさせていただきました。
 当時、経済局からの説明では、国から指定された箇所の安倍川河床を掘削するため、粒度の細かい砂を選別して、養浜事業に使用するのは難しいとのお答えをいただきました。
 安倍川河床の掘削土砂以外に、養浜事業に利用できる土砂は見つからず、年々掘削箇所が上流部に移動している現状において、粒度の細かい砂を利用した用宗海岸の砂浜化への継続した取り組みは困難であるとのお話でした。
 お手元に配布させていただいた資料1)のように、養浜事業が開始される前の平成17年夏の用宗・石部海岸は、大変きれいな砂浜が広がる海岸でした。
 しかし、現在は大きな石ばかりの海岸へとさま変わりをしております。石につまずき、転んでけがをする危険も高く、年配の方からは、怖いので散歩を控えているという声も多く、また子供たちの遊び場として利用するには、けがをしそうで不安だという子育て世代の声も多く聞かれます。海岸の保全という意味でいえば、課題は解決されたのかもしれませんが、それによって失われたものも多いと感じています。
 海岸の保全と並行して、海岸の質の向上もあわせて進めていただくことで、年間を通じた海岸利用者の向上にもつながり、海水浴だけに限らず、子供たちの遊び場として、また地域の憩いの場として楽しんでいただくことができ、自然環境の改善だけにとどまらず、静岡市の交流人口の増加を図る観光戦略の1つとしても、大変価値のあるものであると思っております。
 そういった観点から、海岸の砂浜化、また今後どうしたら砂浜を恒常的に維持していくことができるのか、調査、研究をしていただきたいと、一昨年の質問の際に要望させていただきました。
 用宗・石部海岸を管轄する経済局と人を呼び込む観光交流文化局が局間連携することで、静岡市の大きな目標に向かって課題を解決していくことができるのではないかと考えています。
 そこで、養浜事業の効果と砂浜化への取り組みについて、どのように考えているのか、お伺いします。
 さて、先ほどお話をさせていただいたとおり、海岸整備とあわせて考えなければならないのが、7月21日に海開きを控える用宗海岸海水浴場の活性化、観光戦略であります。
 全国的に海離れが進行し、海水浴客数が減少する中、用宗海岸海水浴場でも、利用者数が年々減少し、平成17年度の9,070人から近年は4,000人前後で推移し、平成30年度には、猛暑の影響を受け3,293人と、13年間で約3分の1となっています。
 現在、メディアでも頻繁に取り上げられるようになった駿河区長田の用宗港周辺には、ゴールデンウィークの10連休の前半に開催された漁港祭りに、約5万人が来場し、10日間で周辺の施設を約8,000人が利用されました。
 昨年12月末にオープンした用宗みなと温泉には、5月末までに10万3,000人が訪れているとの報告を受けており、新たな静岡市の観光地になりつつあると感じております。
 旧静岡市唯一の海水浴場として、JR用宗駅から徒歩5分という好立地にあり、環境省が全国の海水浴場で実施した水質調査では、全国に5カ所しかない最高ランクに選ばれたほどの水質のよさにもかかわらず、地域の魅力を活用し切れていないようにも感じます。
 平成29年度に、静岡市が利用促進策の1つとして実施した利用者アンケートでも、用宗海水浴場について、大変よかった、よかったと回答した方が80%を上回ったという報告も受けおります。
 現状でも利用者から高い評価を得ている海水浴場をさらに活用していくためにも、海水浴場等に関する意識調査アンケートの海水浴場選択時の優先事項で、上位にランクインしている海岸が砂浜という点について、先ほど質問させていただいた養浜事業の質の向上と連携することで、さらなる魅力の向上と利用促進につながると考えています。
 また、アンケート項目で魅力を感じる海水浴場の施設や設備では、海の家や売店、日よけ、飲食ができるスペースなどの声も上がっております。我が自民党市議団の田形議員も海岸への階段設置や日よけの整備などを要望されているとお聞きしております。
 静岡市が目標とする交流人口の増加につながる、こういった利用者からの声を経済局と観光交流文化局がそれぞれの課題を共有し、連携して解決を図っていくことで、静岡市全体にその効果が波及するものと考えております。
 また、市内はもちろん、市外、県外へと地域のブランドを力強く発信し、民間活力や地元自治会、地域団体とも協力し、ともに発展させていくことも重要だと思っています。
 平成31年3月に、国土交通省観光庁観光資源課が発表したビーチの観光資源としての活性化に向けたナレッジ集には、「日本は海岸線が長く、人が集まることのできるビーチも多く存在しています。一方で、夏場の海水浴シーズンを除くと賑わいが途絶え、観光資源としての認知度が低く、活用が進んでいない状況にあります。国内利用は海水浴が基本かつ減少傾向にありますが、世界的にはビーチエリアの旅行滞在や観光ニーズが高く、さらに日本へのインバウンドの観光動向を捉えると、日本のビーチは、今後の地域の創造工夫により新たな観光交流人口の拡大と地域経済の活性化に繋がる大きな可能性があります。
 このような中、海岸の利用を考える上では、日本独特の自然・地形条件に加えて、社会条件や法制度も含めて検討することが必要となります。当最先端観光コンテンツインキュベーター事業等による、国をあげての取組が「ビーチリゾート新時代」への初めの一歩となります。この取組が各地域で地域一体となった長期的なビーチ活用の取組を推進し、地域に根ざし、グローバルに拓けた「ビーチリゾート創出」につながることを期待します。」
 また、「地域の観光資源であるビーチを用いた観光コンテンツの導入・ビーチエリアの観光活性化を検討する主体に対して、直面しやすい課題のイメージと活性化のための観点を具体的に示し、実現に向けた示唆を提供します。」と書かれています。
 各局各課が課題を共有し、さらには国や県とも協力・連携することで、ないものねだりからあるもの探しへという市長の言葉ではありませんが、今注目を浴びている用宗港周辺の魅力の源である用宗・石部海岸の質の改善を図っていただき、危険や不安を感じることのない、また大幅に減少してしまった海水浴利用客、観光客の満足度の向上のため、用宗海水浴場の利用促進、環境改善を図ってはいかがでしょうか。
 そこで、用宗海水浴場の利用促進についてどのように取り組んでいるのか、お伺いします。
 次に「「ひと」を育て、「まち」を活性化する」、「「しごと」を産み出し、雇用を増やす」、「女性・若者の活躍を支え、子育ての希望をかなえる」、「時代に合った「まち」をつくり、圏域の連携を深める」ために、市民局、経済局の局間連携による課題解決についてお話させていただきます。
 市内の自治会、町内会や小学校のPTA活動、地域コミュニティの担い手不足に関する課題についてであります。
 現在、市民協働の名のもと、静岡市は地域の自治会、PTAなど、地域コミュニティと連携しながら、多岐にわたる事業を展開しております。広報紙等の配布のみにかかわらず、消防団活動や自主防災、S型デイサービスなどの社会福祉、子供の見守りなどの子育て支援、交通弱者対策など、地域住民に大変多くの事業に御協力いただいております。
 一方で自治会などの地域コミュニティからは、役員のなり手が不足している、役員の高齢化が進み、動ける人が減っている、やることが多くなって手が回らないなどの悲鳴も聞こえてきます。
 地域を支えているのは、そこに住まう人であり、受け身ではなく、みずからが積極的に行動し、自分たちでまちをよくしていこうという思いが大切であることは、言うまでもありません。しかし、地域で自営業を営む方や農林水産業に従事する方が多くを占めていた一世代前の時代と比べ、企業に勤める会社員が増加した今日において、昼間人口の減少や核家族化が進む現代社会の時間的な制約の中で、地域の活動に参加できる方が減ってきているのが現状です。
 全国的に税収減による行政サービス水準の低下が叫ばれる中、我が市においても人口減少とそれに伴う経済・産業活動の縮小により、税収は横ばい、一方で少子高齢化の進行から社会保障費が財政を圧迫し、ますます厳しさを増していくことが予想されます。
 こうした状況が続く中で、職員の人員削減に伴って、個々の業務量は増加、結果として市民サービスや生活利便性が低下することも懸念されます。
 ここ最近、世間で注目を集めている地域の公共交通は、これまで民間の事業者によって支えられてきました。しかし、人口減少による児童生徒や生産年齢人口の減少が進み、通勤・通学者が減少し、民間事業者による採算ベースでの輸送サービスの提供が困難となり、地方の鉄道や路線バスにおいて、不採算路線からの撤退や運行回数の現象が今後も予想されます。
 また、交通事故の増加などによる高齢者の免許返納などに伴い、自家用車を運転できない方の移動手段として、公共交通の重要性は増しており、地域公共交通の衰退が地域の生活に与える影響は大きなものとなっています。
 質問に先立ち、日本で初めて明太子を製造、販売した福岡市、博多にある株式会社ふくやの地域貢献活動や福岡市が進める「ふくおか地域の絆応援団」の取り組みを視察させていただきました。株式会社ふくやでは、自治会やPTAの役員のなり手不足などの課題に対して、企業の地域貢献活動の一環として、自治会の役員やPTAの役員を行っている社員に対して、地域ボランティア手当の支給や地域活動に参加するときは残業免除、勤務時間内のPTA活動は出勤扱いにするなどの制度を整備し、また2015年度の実績で会社の利益7億円の約20%に当たる1億5,000万円を地域貢献活動に充てるなど、仕事をさせていただいている地域のためにと、積極的に取り組まれています。
 これはふくやの創業者である川原俊夫氏の創業理念を3代目の川原武浩社長が変わらずに受け継いでいらっしゃるからだと思っております。
 また、福岡市が取り組んでいる「ふくおか地域の絆応援団」には、ふくやの2代目の社長で現在会長を務める川原正孝氏が評議会の会長を務め、現在では69社の企業が登録をし、それぞれの企業が自社の業務を活用しながら、できる範囲で地域貢献に取り組む活動を行っています。
 もちろん、民間の企業は、収益を上げなければ経営が成り立ちません。地域貢献より、まずは自社の利益を優先するのはしごく当然であり、行政が民間におんぶにだっこであってはなりません。しかし、地域貢献活動を通じて企業のイメージアップや地域の方との交流によって、従業員のモチベーションアップ、口コミによる営業力の強化などにもつながっているとのお話も聞かせていただき、大変よい取り組みであると感じました。
 ここで、お手元に配布させていただいた資料2)にも記載されております地域の絆応援団の取り組みの1つを御紹介すると、斎場を運営する株式会社飛鳥は、地域活動への従業員の派遣だけでなく、友引などで会社が休みの日に自社が所有するマイクロバスと運転手を提供し、中山間地の高齢者や障害者、子育て世代の買い物支援を行っているそうです。
 静岡市も地域交通弱者対策事業として、自治会連合会やその承諾を得た団体等に対して、公共交通の利用が困難な地域を対象に補助を行っております。
 しかし、先ほどもお話をさせていただいたとおり、地域の役員や地域コミュニティのなり手が不足している今、補助金があるからと、手を挙げて取り組める地域がどれだけあるでしょうか。もちろん、静岡市内の企業でもできる限り、花火などの地域イベントへの協賛は行っている。行政から相談を受けたものは、なるべく協力をするようにしているといった民間の企業もたくさんあります。
 また、中小企業の経営者からも地域貢献をしたいと思っているが、実際には何をしたらよいかわからないといった声も聞かれます。
 旧清水市においては、地域イベントへの協賛や寄附、イベント終了後のごみ拾いや片づけを企業が社員総出で協力されていたとも聞いております。
 そこで、地域活動における課題解決に対して、どのように取り組みを行っているのか、企業の地域貢献活動について、どのような取り組み事例があるかの2件をお伺いし、以上4点をお聞きし、1回目の質問を終わります。
◯農林水産統括監(草分與志君) 養浜事業の効果と砂浜化への取り組みについてですが、養浜事業は台風等の高潮や波浪から、沿岸地域を守ることを目的とした海岸保全対策の1つで、防潮堤、離岸堤の整備と合わせて事業を実施することで、より効果的に波の力を弱めることができます。
 石部・用宗海岸では、平成17年度から事業に着手し、安倍川から毎年約1万立方メートルの砂利を搬入しており、徐々にではありますが、浜辺が回復し、市民の憩いの場としての利用機会もふえています。また、夏場には海水浴場としても利用され、砂浜化への要望も聞いております。
 そこで、今回、観光交流文化局と連携して、海水浴場予定地において、養浜事業により試験的に砂を搬入し、砂浜化への検証を行います。また、利用者の利便性の向上のため、地元から御要望いただいた防潮堤から海岸へおりる階段の増設についても、6月末に完成する見込みです。
 今後も、海岸の保全と海水浴場としての利用を踏まえた質の高い海岸となるよう局間連携を図っていきます。
◯観光交流文化局長(大石貴生君) 用宗海岸海水浴場の利用促進の取り組みについてですが、本市では主に環境整備と情報発信の2つの視点で取り組んでおります。
 1つ目の環境整備については、議員の御質問のとおり、平成29年度に実施しました海水浴場等に関する意識調査において、海岸の砂浜化のほか、日よけや売店等の設置に対するニーズが高いことがわかりました。これを受け、本年7月21日の海開きに向け、農林水産統括監の答弁にありましたとおり、海水浴場の砂浜化を試験的に実施するほか、地元要望の高い用宗緑地への日よけの新設について、都市局と連携し、進めております。
 また、売店の設置についても、実施に向けて、現在、地元関係者の皆さんなどと調整を図っているところです。
 2つ目の情報発信については、これまでも静岡市内はもとより、中部横断自動車道の開通を視野に入れ、山梨県、長野県に向けさまざまな媒体を活用したプロモーションを積極的に行ってまいりました。令和元年度はこれらに加え、するが企画観光局が実施します甲府キャラバンや企画局が実施する中部横断自動車道PR事業において、民間開発が進み、注目を集めております用宗エリアと用宗海岸海水浴場、そして清水港開港120周年記念イベントをあわせて宣伝することにより、相乗効果の高い情報発信をしてまいります。
 今後も、局間で課題を共有し、用宗海岸海水浴場の利用者ニーズに応えるための環境整備に努めるとともに、その魅力を広く市内外に伝えるため、より効果的な手法で情報発信を行い、さらなる利用促進に努めてまいります。
◯市民局長(深澤俊昭君) 地域活動における課題解決に対しての取り組みについてですが、少子高齢化や人口減少が進む中、平成28年度に実施した全連合自治会長へのアンケートにおいて、自治会活動の運営上の課題で最も多かったのが役員のなり手が少ない、次いで行事への参加者が少ないという御意見をいただいております。
 そこで、本市としては、地域コミュニティの持続性をより一層高めるための核となるシチズンシップに富んだ人材の養成を目的とした地域デザインカレッジによる人材育成事業に重点的に取り組んでおります。
 また、これに加え、地域住民が地域の課題解決に取り組む好事例を発表し、お互いに学び合うしずおか自治取組発表会の開催や地域特性の課題に応じた活動に役立てていただくため、各地区ごとの人口推計を作成し、提供しています。
 さらに、各区においてもそれぞれの地域の特性や課題、区民のニーズなどを踏まえた各区独自の支援事業に取り組んでおります。
 今後も引き続き日ごろから地域づくりに熱心に取り組まれている自治会、町内会への支援に努めてまいります。
◯経済局長(池田文信君) 企業の地域貢献活動の取り組み事例についてですが、市内企業の多くは、自治会、町内会の清掃活動や地元のお祭りへの協力などで、地域に貢献していますが、最近では企業が持つ特性や技術を生かした地域貢献の取り組みもふえてきました。
 本市は、こうした地域貢献活動を審査項目の1つとしたCSR表彰事業を実施し、高い意欲を持って地域貢献に取り組む企業を顕彰しています。
 受賞した企業の取り組み事例としては、飲食サービス業の株式会社竹酔さんは、弁当などの調理技術を生かし、地域の防災訓練における炊き出しに住民の皆さんとともに取り組んでいます。
 また、総合建設業の株式会社アースシフトさんは麻機遊水地の自然再生や人と生き物の共生を目指す地域活動に感銘を受け、遊水地内の美化活動への参加や麻機遊水地フェスタの運営協力などを行っています。
 本市は、こうした活動を市民や市内企業に広く発信し、取り組みの拡大をさらに図ってまいります。
  〔8番島 直也君登壇〕
◯8番(島 直也君) 御答弁をいただきました。意見、要望は3回目にさせていただきます。
 先ほどのお話に出ていたとおり、現在、静岡市内の企業で地域貢献活動に積極的に取り組んでくださっている企業もたくさんございます。ただ、その取り組みが地域や市民のニーズとマッチせず、企業側の一方的な取り組みになってしまうことがないように、地域と企業をつなげることが市の重要な取り組みだと思っております。
 地域コミュニティの課題に対して、企業が地域貢献として協力ができる取り組みを市民局と経済局が情報を共有し、局間連携でマッチングを行い、より価値のある活動にしていくことで、地域に根差した愛される企業へと成長し、雇用の確保や定住人口の促進にもつながるのではないかと考えております。
 そこで、局間連携による地域活動への支援について、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
 今回の質問では、経済局、観光交流文化局、市民局の事業を例に挙げてお話をさせていただきましたが、局間連携は、全ての局において言えることだと思っております。縦割り行政の弊害によって、一歩を踏み出せずにいる案件も多々あるのではないでしょうか。
 昨年11月の質問でもお話をさせていただきましたが、まちづくりは人づくりです。静岡市のこれからの明るい未来は、市役所の職員の皆さんにかかっていると思っています。局間連携といえば聞こえはいいが、あの課に相談すると面倒だから、他の課から協力をお願いされたけれども、通常の業務で手がいっぱいで仕事がふえるから断りたいといった職員のモチベーションの低下につながってはいないでしょうか。
 少子高齢化、人口減少が進む中、他の都市よりも魅力的な市民サービスや事業、施策によって、人を引きつけ、交流人口、定住人口を増加させようという目標があるのであれば、これまでのやり方を見直していくことも必要なのではないでしょうか。
 各局の課題を共有するための仕組みをつくり、連携を促すシステム構築が必要な時期に来ているのではないでしょうか。
 全国を見渡せば、データベースやAIを活用した情報共有や職員の仕事の効率化を進めている市町もございます。今年度の総務委員会では、AIやクラウドを活用した働き方改革の視察も予定されています。全てを一度に変えようと思っても限界があります。まずは、各局の課題を共有し、それぞれが連携しやすくなる仕組みを構築すると同時にAIなどを活用し、情報を探す手間や時間のロスを極力減らし、職員の業務の効率化を図ることで、それによってできた時間をより建設的な、局間が連携した、さらにレベルの高い業務へとシフトすることができるのではないでしょうか。
 また、担当の職員が異動してしまい、以前から打ち合わせをしていた内容が先祖返りしてしまった。担当者間の引き継ぎが全くできていないといった市民からの声もよく聞かれます。業務内容をデータベース化し、AIによって管理することができれば、課題だけでなく、役所全体の情報共有も進み、引き継ぎなどの手間がかかる作業も効率よく行え、職員の働き方改革にもつながっていくと思っています。
 全ての局において、内容に大小はあっても、局間連携できる案件はたくさんあると思います。だからこそ、他局の課題も自分事と捉え、与えられた業務だけを行うのではなく、職員みずからがまちづくりに参加しているという気持ちを持って、積極的に業務を行える環境を整備していくためにも、今こそ局間連携につながる仕組みをつくっていく必要があると考えています。
 そこで、局間連携に向けた課題等の情報共有の現状と今後の取り組みについてお伺いし、以上2点をお聞きし、2回目の質問を終わります。
◯市民局長(深澤俊昭君) 局間連携による地域活動への支援に関する取り組みについてですが、本市では市民活動への参加を促すため、多様な団体の活動を紹介するウエブサイトここからネットを平成30年5月に開設し、市民一人一人が地域における活動を身近に感じ、気軽に地域での活動に参加できる環境を整備しております。
 このここからネットを活用し、市民活動団体だけでなく、今後は経済局と連携して、地域貢献活動を実践されている企業等の情報をサイトに登録し、積極的に活動情報の発信を行うとともに、自治会、町内会の皆様に情報を提供していきたいと考えております。
 こうした自治会、町内会と企業をつなぐまちづくりに向けた情報が十分生かされるよう、経済局とともに、地域活動への支援に努めてまいります。
◯総務局長(豊後知里君) 局間連携に向けた課題等の情報共有についてですが、本市では、年々高度化、複雑化する行政課題に、迅速、的確に対応するため、市長のリーダーシップのもと、局間連携に取り組んでおります。
 具体的には、市長を初めとした特別職、政策官、各局区長等で構成する局長会議では、連絡や周知にとどまらず、連携強化のための情報共有と課題解決に向けた議論を行っています。
 また、個別の施策については、関係する局区長等による統括会議を開催し、その事務を協力して進めていくための協議を行っています。
 こうした会議に加え、平成29年度から局間連携と二役のトップダウンのマネジメント機能を強化するため、最上位の行政職として政策官を配置しているほか、本年4月からは、各局が連携して事業を推進するための調整機能と情報発信力、収集力の強化のため、市長公室を設置し、局横断的な課題にも機動的に対応しているところです。
 さらに、各種会議や組織等による連携の効果を補完するものとして、庁内ネットワークの電子掲示板なども活用し、職員間の情報共有に努めております。
 今後も、各種会議を効果的に運営し、情報の共有と課題解決のための議論を積極的に行うとともに、連携を強化するための組織も最大限に活用し、局間連携をより一層推進してまいります。
  〔8番島 直也君登壇〕
◯8番(島 直也君) 御答弁をいただきました。
 最後は意見・要望です。
 まずは、経済局と観光交流文化局に対してであります。
 質問でも述べたように、用宗・石部海岸の養浜事業は、海岸保全対策という意味では一定の成果があったものと思っています。水産漁港課からの説明では、テトラポットの設置や土砂の搬入によって、海岸の浸食も減少してきているとの判断から、養浜事業の継続の可否について、検討しているとのことでした。
 しかし、地元町内会からも養浜事業の継続の要望が上がっていますが、そもそも養浜事業とは、砂を広げ、育てることであり、配布した資料1)の写真をごらんいただいたように、さま変わりした姿のまま事業を終了するなどもってのほかです。ないものねだり、あるもの探しの前にあるものを壊してしまっては意味がありません。ぜひどこの局がやるかではなく、何のためにやるのか市全体の目標を共有し、その課題に向かって全局が一丸となって取り組んでいく姿勢を見せていただきたいと思います。
 次に、市民局と経済局についてであります。
 質問でもお話ししたとおり、自治会を初めとした地域コミュニティの担い手不足に対する対策は、喫緊の課題であります。合併した自治会やPTAを廃止した学校もあると聞いております。市民局が地域に手を差し伸べ、担い手確保の可能性を秘めている企業に対して、経済局と連携しながら、持続可能な環境をつくっていかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。ホームページに掲載しただけで人が集まれば、これほど楽なことはありません。結果が出ていなければやっている意味がありません。
 今行っている事業を評価をしていないということではありません。局間で目的を共有し、より大きな成果が出るような取り組みになるよう要望させていただきます。
 最後に、総務局に対してであります。
 局間連携の鍵を握っているのは、総務局だけだと言っても過言ではありません。少子高齢化、人口減少によって、全国的に労働力が減少する中、AIやITの技術を活用して業務の効率化、働き方改革、生産性の向上を図ることは大変重要であります。
 局間が連携し、積極的に課題を解決する環境の整備の早期実現を要望し、私の全ての質問を終わらせていただきます。
 おつき合いいただき、ありがとうございました。(拍手)